【要約】

  • 会議の参加者をペルソナにして共感マップを作ってみた
  • 会議に対する悩み・課題を放置しておくと、悪影響が出る可能性がある
    • 仕事に取り組む姿勢 (モチベーション・充実感) が下がる
    • 「残業することが当たり前」から脱却できなくなる
    • スキル (特にホワイトカラーが労働市場で評価されるもの) を研鑽する時間が取れない

【本文】

このブログ投稿では、会議に参加しておられる方々の共感マップを見ながら、「会議の悩み・課題と悪影響」について書きたいと思います。

共感マップというのは、XPLANEという会社が開発したものです。英語では Empathy Map と言います。フレームワークの1つです。ある1人の利害関係者或いは1つのグループについて考えるものです。共感マップの詳細は別のブログ投稿にしたいと思います。ここでは会議に参加しておられる方々について考えてみました。

下記の観点からみてみます。

  • 考える・感じる:会議について何を考えているのか?どう感じているのか?
    今回は「考える」と「感じる」をまとめています。
  • 見る:会議中に何を見ているのか?
  • 聞く:会議中に何を聞いているのか?
  • 言う・行動する:会議中に何を発言するのか?何をするのか?
  • 苦痛:会議に参加することについてどんな苦痛があるのか?
  • 獲得:会議に参加すると何が獲得できるのか?

会議の悩み・課題 (私の想定)

下の共感マップ、あてはまるものはいくつありますか?

BTFコンサルティングが協働させていただく前の共感マップ

考える・感じる

  • 何の目的の会議何だっけ?
    会議が始まるまで「何の目的のために集められたのか」不明の会議に参加したことはありますか?
    会議が始まっても「何の目的のために会議しているのか」参加者に目的が伝えられずに (目的が合意されずに) 時間ばかりが経過していることはありますか?
    バスツアーでミステリーツアーというのがあります。私は参加したことがありませんが、参加した方に伺うと「どこに向かっているのか・どこに連れていかれるのかが分からない」ので面白いそうです。
    しかし、ミステリー会議はよくありません。事前に「何のために集め集まっているのか」について明らかにし合意することが必要です。
    「梨狩り」のバスツアーの集合場所に到着して、「あれ?ぶどう狩りだと思ってきたのに。。。」みたいなことにならないようにすることが必要です。
  • 結局声の大きい人や権力のある人の意見が通っちゃうよね
    これ「あるある」でしょうか?
    そもそも、何のために参加者の方々を集める必要があるのか、ということを参加者全員が納得していることが必要です。決定者が参加しない会議を開催しておられる会社があります。そういった会議の目的は、決定者に提案する案をいくつか考え、各々の良い点・悪い点を比較しておいて、決定者の方が決定しやすくまとまる、というようなものかもしれませんね。

  • 忙しいのに会議に出なきゃいけないのかなぁ (当事者意識がない)
    これも「あるある」でしょうか?
    自分が参加する必要性を納得していない場合、こんな風に思ってしまうこと、ありますよね。「何のために集め集まっているのか」が共有され納得されていることは大切です。
    参加する必要性を感じていない会議に出ることは苦痛です。
  • 会議ってつまらないし時間の無駄
    私は「集まって議論し合意形成する行為」は会社の中でかなり重要なものだと思っています。私はそれを会議と呼ぶと思っています。
    会議がつまらなくて時間の無駄ということは、「会社がつまらない」ということと結構近いことなのでしょう。早急に手を打つべき課題です。
    社会人になりたての時期、会議というものに緊張して出ていた時期があるかと思います。その時、こんなことは思わなかったのではないでしょうか?
  • リモートからの参加は疎外感を感じる
    テクノロジーの進化により、オフィスにいなくても会議に参加することが可能な時代になりました。リモート (例えば自宅とか公園とか) から参加すると、オフィスから参加している時に比べて疎外感を感じるということはありませんか?まだ慣れていないからかもしれませんね。
  • 外人との会議嫌だな
    企業規模に関わらず海外企業と協働する必要が出てくる時代だと思います。日本語ではない言葉を母国語とする企業と協働する場合、まず最初にくるのは言語の壁、例えば英語を使う場合「英語嫌だな」がくるのではないかと思います。英語が何とかなった次にくるのは、「何故かうまく通じないなぁ」「何故わかってくれないんだろう」という言葉以外の壁です。海外企業と協働するのであれば、ここは改善しなければならない課題ですね。

見る

  • 議論が見えない (空中戦)
    会議室の中を言葉が飛び交っている場にいた経験をお持ちの方々は多いと思います。「会議ってそういうものでしょ」と思っておられる方々もいらっしゃると思います。
    何を言ったのか、何が議論されているのか、集中して聞いていなければなりませんよね。自分のノートやPCにメモを取る方々もいらっしゃるでしょう。
    議論が見えたら。。。議論が見えるって、どういうこと?今度、別のブログで、「BTFコンサルティングと協働させていただいた後」を書きたいと思います。そこで説明します。
  • 資料を見ていて話している人を見ていない / 話している人もみんなを見ていない
    もったいない状況です。折角同じ会議室にいるのであれば、どんな表情で話しているのか、どんな風に話を聞いてくれているのか、言葉以外の情報も得て欲しいと思います。
    午後一の会議で下を向いていると眠くなったりしますし、会議が終わった後でやる予定の仕事のアイデアをメモ書きしちゃったりすることもありますし。。。
  • 明らかに内職をしている人がいる
    自分以外の参加者が内職している光景を見るということです。じゃあ自分も、という感じで伝播することがありますね。

聞く

  • 積極的に参加していないし、内職しながら聞いている / そもそも議論が見えないので聞き流してしまうことが多い
    そもそも内職しながら聞いているという時点で積極的な参加ではないですね。人間という生物は同時に複数のことを同程度に集中することが不得意にできているようです。(コンピュータとは違いますね)
    内職している最中でも議論は進んでいるので、内職が一区切りした段階、つまり内職から会議へ集中対象を切り替えた段階で、議論は進んでしまっているので、議論の中身について迷子状態になってしまう可能性大です。
    ところで、内職って。。。小学校の時にドッジボールをやったことのある方は多いのではないかと思います。外野にいるAちゃんはイラスト書きにハマっていてドッジボール中にノートにイラストを書いていたら。。。結構あり得ないですよね。でも私たちは?
    こんなことを書いた私も会議で内職したことがあります。。。
  • 人を攻撃するような発言やディベート的な発言を聞くことがある
    聞き流しながら議論を聞いていても、攻撃するような発言やディベート的な発言で場が一気に緊張したりすると、集中して聞き入ってしまったりしたことってありますか?その議論の目的がディベートして勝ち負けを決めることであるならば、人を攻撃するような発言やディベート的な発言はOKかもしれません。でも、会社の会議の目的は違う目的だと思います。

言う・行動する

  • 聞いているだけ、傾聴していない
    右の耳から左の耳へ、という感じです。
  • 内職をする
    自分が内職をする、ということです。
  • 発言するのは意見を求められたときだけ
    こういう方々は結構な数おられるのではないかと思います。発言しにくい場の雰囲気であったり、以前発言した時にあまり良くない経験をされたことがあるのかもしれませんね。
  • 積極的に自分の思考回路を使わない
    この共感マップに書き出されているものはネガティブなものばかりです。このような場にいたら思考回路の動きは鈍くなってしまいそうですね。
  • 議事録は事後に経験の浅い人が作成する
    議事録って大切なものの筈です。経験の浅い方に経験を積んでもらって成長していただく、という目的があるのかもしれませんし、もしかしたら議事録の意義を良く理解しておられないのかもしれません。私は若い頃、何回も訂正されて数日経ってから議事録を出したことがあります。議事録は会議終了後、あまり時間をおかずに共有されなくてはなりません。議事録というか人の記憶の有効期限みたいなものってあると思います。(時間が経過しすぎると何を話したか曖昧になってきてしまう)

苦痛

  • 何のために集まっているのか不明 (不安)
    目的と目標が共有されていないミステリー会議に参加している場合、会議が始まってしばらくは、何のために集まっているのか不明な状態になってしまうと思います。時間が経つにつれ、「あれ?この会議に参加する必要あるのかなぁ?部外秘の内容が議論されているけど、ここにいていいのかなぁ?」などと不安になってしまう場合もあるかと思います。
  • どこまで決まったらこの会議が終わるのか不明 (不安)
    例えば、午後4時から5時まででスケジュールされている会議に参加しているとします。1時間でどこまで到達したいのかが共有されていないと、そもそもどこまで決まったら終わるのかがわかりません。4時40分くらいになると、「5時過ぎには会社を出て子供を迎えに行かないといけないのだけど、本当に5時で終わるのかなぁ」などと不安になってきます。
    会議時間が伸びてしまうことは不安・不満が出てくるところです。
  • 結論が出ない会議が多い、決められたことが実行されない
    これはかなり大きな問題、というか解決必須な課題です。

獲得

  • 数回の会議を経てゴールに到達できたときは安心する
    「やっと終わったぁ」という感じでしょうか。達成感を感じられるかもしれません。と同時に徒労感も感じてしまいそうですね。

会議の悩み・課題がもたらす悪影響

上の共感マップのような悩み・課題を抱えたままにしておくと、次の赤太字のような悪影響が出てきてしまう可能性があると思います。

  • 仕事に取り組む姿勢 (モチベーション・充実感) が下がる
  • 「残業することが当たり前」から脱却できなくなる
  • スキル (特にホワイトカラーが労働市場で評価されるもの) を研鑽する時間が取れない

以下、各々について考えてみます。

仕事に取り組む姿勢 (モチベーション・充実感) が下がる

  • 徒労感が生まれ、やる気が削がれてしまう
    共感マップでも書いた通り、徒労感が生まれてしまう可能性があります。こういう会議が続くと、徒労感が増殖し、次第にやる気が削がれてしまう可能性があると思います。
  • 会議以外の仕事の効率・品質へも悪影響をもたらす可能性がある
    会議が終わって自分の席に戻ったからと言って、急に徒労感や削がれたやる気が回復するわけではありません。自分の仕事の効率・品質にも悪影響をもたらす可能性があると思います。
  • プライベートな生活へも悪影響をもたらす可能性がある
    朝から夕方まで仕事をしている方でしたら、1日の時間の多くを仕事に使っていますので、仕事で悪影響が出ると、プライベートな生活へも悪影響をもたらす可能性があると思います。

「残業することが当たり前」から脱却できなくなる

  • ワーク・ライフ・バランスが崩れることの様々な弊害
    会議が長時間になると、会議以外の仕事の時間が圧迫されてしまいます。結果、残業するか、高ストレス状態でなんとか時間内に終わるように頑張ってしまうか、などになると思います。残業が常態化してしまうと、ワーク・ライフ・バランスが崩れてしまい、友人や家族との関係がギクシャクしたり、様々な弊害が出てくる可能性があります。
  • 「生活残業」しないと生活レベルを維持できない悪循環
    仕事の質を上げる方法として、スキルを上げること、やり方を工夫して改善すること、などがあります。やり方の工夫は職場の改善活動などで、すでに対応されているのではないかと思います。つまり、すでにできることは対応ずみということかと思います。さらに何ができるのか?スキルを上げることです。今このブログを読んでくださっている方の中に「生活残業」しておられる方がいらっしゃるとしたら、スキルをあげないと今の状態から抜け出せないかもしれないと、私は思うのです。
    こんなことを書いている私も、昔「生活残業」をやっていたことがありました。。。
  • 残業時間が長いほど「頑張った」と評価する昔ながらの悪習慣
    これは管理者の方々へのメッセージです。評価基準は何ですか?勤務時間だけですか?有能で早くかつ質のいい仕事をする人は、どう評価しますか?人事評価そのものは、ファシリテーションの外の話かもしれませんが、ここは重要だと思います。

スキル (特にホワイトカラーが労働市場で評価されるもの) を研鑽する時間が取れない

  • そもそも、どんなスキルが労働市場で評価されるのか知る機会がない
    毎日毎日忙しく仕事をしている。会社だけでなく家庭でも、プライベートでも。
    ちょっと待ってください。あなたは「今どんなスキルが高く評価されていて」「それらの中から自分に興味があるのはコレかな」ということを考える時間を持っていますか?
    Noと答えた方々は是非ちょっと考えてみてください。あなたのスキルを上げることで、あなた自身だけでなく、周りの人にも、会社にも良い影響を与えることができます。
  • 個人として、将来に対する不安が増す (例:他社の知り合いは成長しているのに自分は停滞)
    学生時代の友人、就職してから付き合いが始まった友人、そんな方々と仕事以外の時間に会って食事したり飲みに行ったりして、友人は成長しているな、と感じたことはありますか?もしそういう経験をお持ちの方、次はあなたが成長する番ではないでしょうか?待っていても何もやってきません。自分からスキルをゲットしましょう。
  • 組織・会社として、特に他社 (国内と海外) と比較して、相対的にスキルが落ちていく
    個人が停滞していたら、個人の集合体である組織・会社も停滞します。国内外を問わず他社と比較して、相対的にスキルが落ちる、というか会社としての魅力が落ちていってしまいます。個々人でできることには限度があります。組織として、会社としても対応する必要があると思います。BTFコンサルティングでは、ファシリテーションだけでなくソフトスキルを身につけていただき、最終目標の「自律的な変革実現能力の獲得」を目指して、お客様を支援させていただきます。
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